手書きの複式簿記から電子帳簿法まで:経理30年の変遷と進化
昨年のインボイス制度導入から早くも一年が経過しました。この制度変更を機に、私たちの会社では将来の電子帳簿保存法への対応を見据え、経理システムを完全に電子化しました。
私自身は経理のスペシャリストではありませんが、小規模企業ゆえに多岐にわたる業務をこなす必要がありました。営業、経理、運転手、バイヤー、DTP、保険業務、清掃、他社サポートなど、様々な役割を担当してきました。この経験を通じて、幅広い分野に関する知識と技能を習得することができました。
私の経理キャリアは27歳頃に始まりました。大学で経理を少し学んだ経験があったため、その分野に明るいだろうという周囲の錯覚から、経理業務を手伝うことになったのです。
当時の経理作業は、紙の現金出納帳にゴム印で「〇〇費」などとゴム押印するという、今から考えると非常にアナログな方法でした。その後、Lotus 1-2-3という表計算ソフトを使用し始めましたが、それもつかの間、すぐに弥生会計という専門的な経理ソフトへと移行しました。
当時のパソコン環境は、現在とは比べものにならないほど煩雑でした。DOS搭載のPCを使用し、経理作業を開始する前には、DOSのフロッピーディスクを何枚も挿入し、その後にソフトウェアのフロッピーディスクを入れて起動するという手順を踏む必要がありました。起動までに10分以上かかることも珍しくありませんでした。今となっては懐かしい思い出です。
特に印象深いのは、損害保険業務における複式簿記の作業です。この作業は長期間にわたって続き、しかもボールペンでの記入が義務付けられていました。そのため、最初に鉛筆で下書きをして計算し、検算後にOKであればボールペンで清書するという二度手間の作業が必要でした。今思えば、非常に労力のかかる、そして間違いのリスクも高い作業だったと感じます。現在のデジタル化された環境では、もはや想像もつかないほどの手間がかかっていたのです。
そのような経験を経て、現在は在宅である会社の経理サポートを行っています。今日の経理業務は、以前と比べると物理的な負担は大幅に軽減されました。しかし、経理特有の課題や悩みは依然として存在します。単に入力業務に関しては、技術の進歩により確実に効率化が図られています。
電子帳簿等保存法、スキャナ保存、電子取引の導入は、経理業務に改善をもたらしました。導入当初は戸惑いも多く、従来の手入力の方が効率的だと感じることもありました。税理士の方々も同様に戸惑いを感じて、時には私に操作方法について質問を逆に受けることもありました。
しかし、1年が経過し、システムに慣れてくると、スキャナ保存の利点が明確になってきました。この1年間、請求書や領収書の所在を尋ねられても即座に提示できるようになり、物理的な保管庫を探し回る必要もなくなりました。さらに、在宅勤務でも完全に業務をこなせるようになり、働き方の柔軟性が大幅に向上しました。
現在の業務フローは、週に一度レターパックで送られてくる書類を整理し、スキャンすることから始まります。この1年間で、スキャナ保存が様々な場面で活用できることを実感しました。社長との相談の結果、経理書類だけでなく、他の様々な書類もスキャンして保存することになり、仕事の範囲は拡大しましたが、それに伴い収入も増加し、やりがいを感じています。
一方で、キーボード入力の機会が減少したことで、タイピング技術の低下を感じることもあります。そのため、ブログ執筆はタイピングスキルの維持にも役立つと考えています。
家庭にもスキャナー専用機の導入も非常に便利です。スマートフォンで撮影からPDF化も可能ですが、専用機の利便性は格別です。私が使用しているのはScanSnapという機種で、様々なスキャナーの中でもかなり評価されています。現在、身の回りの様々な書類をスキャニングしている最中です。ScanSnapの詳細については、後日ブログで詳しく紹介する予定です。
総じて、電子帳簿保存法の導入は非常に有益だったと実感しています。初期の混乱を乗り越え、今では業務効率の大幅な向上と、より柔軟な働き方の実現につながっています。
- 経理業務は、手書きの複式簿記から電子帳簿法に至るまで大きく進化。
- 昔は紙ベースで手間がかかり、パソコンも複雑で非効率だった。
- 技術の進歩により、経理システムが電子化され、効率が大幅に向上。
- 電子帳簿保存法の導入で、書類の管理や検索が簡単に。
- 働き方が柔軟になり、業務効率が飛躍的に改善。
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