現代の働き方が多様化する中で、フリーランス人口が急増。
副業解禁やインターネットを活用した仕事が普及し、今や多くの人が自由な働き方を求めてフリーランスの道を選ぶようになりました。しかし、その一方で、フリーランスとしての立場には曖昧さと不安定さがつきまといます。特に、企業側がフリーランス契約を利用して、社会保険料や消費税の負担を軽減するために従業員を「偽装フリーランス」として扱うケースが増え、これが大きな社会問題となっています。
この背景から生まれたのが、フリーランスの権利保護と企業との公平な関係を実現するためのフリーランス新法です。多くのフリーランスが、契約上は業務委託でありながら企業の指揮命令のもとで働き、社会保険や労働基準法の保護が十分に受けられないという課題を抱えてきました。こういった中で問題になっているのが偽装フリーランスです。これは契約は業務委託でも、実態が会社員に近いケースです。たとえば、労働時間に規定がない、残業が多い、有給や最低賃金もないなどの特徴があり、社会保険も適用されないという問題があります。
偽装フリーランスが多い職種としては、配達員、運転手、接客業、IT技術者、製造業(特に板金工)など様々な業種が挙げられ、実態は社員のような働き方になっているケースが多いです。また、企業が節税目的でフリーランス契約を利用する問題も増えており、これを解消するため、新法ではインボイス制度の導入や禁止行為の明確化といった具体的な対策が講じられています。
本記事では、フリーランス新法が誕生した背景や、その具体的な内容について解説していきます。
フリーランス新法の概要と目的
フリーランス新法は、こうした曖昧な労働関係を明確にし、偽装フリーランスの増加を防ぐために導入されました。具体的には、以下のような内容を含んでいます。
- フリーランスの定義が曖昧な現状:フリーランスの数に関するデータは、民間調査と政府調査で大きな差が見られます。民間の調査では1,500万人にのぼる一方、政府調査では400万人ほどとなっており、フリーランスの定義が統一されていないことが一因です。
- 偽装フリーランスの問題:契約上は業務委託でありながら、実態として会社の指示に従う「偽装フリーランス」が問題視されています。こうした働き方は、労働時間の規制がなく、有給や最低賃金の保証もないため、労働者としての権利が著しく制限されているケースが多いです。
- インボイス制度の導入:インボイス制度は、消費税の節税対策として偽装フリーランスが利用されることを防ぐ目的で導入されました。インボイスに登録していないフリーランスの消費税分は経費として控除できないようにすることで、企業がフリーランスを安易に利用することを抑制しています。
フリーランス新法における禁止行為
フリーランス新法では、発注側が守るべき禁止行為が定められています。以下はその代表的な例です。
- 受領拒否:特定の条件がないにもかかわらず、納品物の受領を拒否すること。
- 報酬の減額:あらかじめ定められた報酬を減額すること。
- 返品:特定の条件がないにもかかわらず、納品物を返品すること。
- 購入・利用強制:指定の物品やサービスを強制的に購入・利用させること。
- 不当な経済利益の提供要求:金銭や労務提供を要求すること。
- 不当な給付内容の変更:納品後に費用負担なしでの変更ややり直しを要求すること。
これらのルールにより、フリーランスの権利を企業の従業員と同等に保護することが求められています。特に1社とのみ契約しているフリーランスは、社員に近い存在であるため、より厳格に守られるべきだと考えられています。
今後の展望:フリーランス新法の影響
この新法の施行により、フリーランスとして働く人々が公正な待遇を受けられる一方、企業側は新たなルールに適応する必要があります。今後も、フリーランスという働き方が進化し続ける中で、フリーランス新法がどのように活用され、働く環境がどう変化するかを注視することが大切です。
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